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医療脱毛はアトピー性皮膚炎に効果的

医療脱毛はアトピー性皮膚炎に効果的

アトピー性皮膚炎でお悩みの方にとって、「医療脱毛」という言葉は治療として馴染みがないかもしれません。

一般的にはムダ毛の永久脱毛を目的とした美容施術というイメージが強いでしょう。

しかし、近年の研究では、医療脱毛がアトピー性皮膚炎の症状改善に意外な効果をもたらす可能性が示されています。この記事では、その科学的根拠とメカニズムについて、最新の医学的知見をもとにわかりやすく解説します。

医療脱毛とアトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、乾燥肌・かゆみ・赤み・炎症などを特徴とする慢性的な皮膚疾患で、遺伝的要因や環境因子が複雑に絡み合って発症します。

従来の治療法としては、保湿剤によるスキンケア、ステロイド外用薬や免疫抑制剤による炎症コントロールが基本となっています。

そんな中、本来は美容目的で行われる医療脱毛が、アトピー性皮膚炎の症状改善に役立つという研究結果が近年注目を集めています。

医療用レーザーの持つ特性が、アトピー性皮膚炎の主要な症状である「炎症」「かゆみ」「皮膚バリア機能の低下」などに良い影響を与える可能性が示唆されているのです。

どのように効果があるの?4つの作用メカニズム

医療脱毛がアトピー性皮膚炎に効果をもたらす理由は、主に以下の4つのメカニズムによると考えられています。

1. 炎症を抑える効果

医療用レーザーを皮膚に照射すると、皮膚の炎症反応に関わる物質(サイトカインと呼ばれる)の産生が抑えられることがわかっています。アトピー性皮膚炎では、特に「Th2サイトカイン」と呼ばれる炎症物質が過剰に産生されていますが、レーザー照射によってこれらの物質の量が減少するという研究結果があります。

Moritaらが1993年に発表した研究では、アトピー性皮膚炎患者さん81名に830nm半導体レーザーを照射したところ、79%の患者さんでかゆみが減少し、71%で皮疹(湿疹)が改善したという驚くべき結果が示されました。また、炎症マーカーの減少も確認され、副作用は認められなかったとのことです。

これは、レーザーが一種の「光免疫療法」として作用し、過剰な免疫反応を静める効果があることを示唆しています。紫外線療法(ナローバンドUVBなど)にも似た効果がありますが、医療脱毛用レーザーは紫外線を含まないため、長期的な皮膚への影響という点ではより安全性が高いとも考えられます。

2. 皮膚の常在菌バランスを整える

健康な肌には様々な細菌が常在していますが、アトピー性皮膚炎では、「黄色ブドウ球菌」という細菌が肌に過剰に増殖し、症状を悪化させることが知られています。この菌は毒素を出したり、バイオフィルムと呼ばれる保護膜を作って薬が効きにくくなったりします。

一方、健康な肌には「表皮ブドウ球菌」などの良い菌がバランスよく存在し、黄色ブドウ球菌の増殖を抑えたり、肌のバリア機能を助けたりしています。

Fazelらが2020年に行った研究では、アレキサンドライトレーザーによる医療脱毛を行った結果、腋窩(わきの下)の菌叢に興味深い変化が見られました。レーザー治療後、黄色ブドウ球菌を含む細菌の総数が減少し、良い菌である表皮ブドウ球菌の割合が増加したのです。この菌バランスの改善により、約63%の被験者で肌状態の改善が見られました。

この研究はアトピー患者を直接対象としたものではありませんが、皮膚細菌叢のバランス改善がアトピー性皮膚炎の症状改善にも寄与する可能性を示唆しています。アトピー肌では黄色ブドウ球菌の定着率が高く(患者の90%以上で検出される)、これを減らすことは症状改善の重要な鍵になると考えられています。

3. かゆみを和らげる神経への作用

アトピー性皮膚炎のつらい症状のひとつが「かゆみ」です。このかゆみは、皮膚の「C線維」という知覚神経が過敏になり、通常より多く皮膚に侵入していることが原因のひとつです。慢性的なかゆみによる掻破(ひっかくこと)が、さらに皮膚バリアを壊し、炎症を悪化させるという悪循環を生みます。

山田らが2018年の日本脱毛学会で発表した研究によると、アトピー患者さんの肌にロングパルスアレキサンドライトレーザー(GentleLASE)を照射したところ、皮膚内に侵入していたC線維が減少し、それに伴ってかゆみが軽減、皮膚症状も改善したとのことです。

これはレーザーの熱作用により、かゆみを伝える神経の働きが一時的に抑制されるためと考えられています。

通常、こうした神経の変化は一時的なものですが、山田らの報告では効果が長期間持続する傾向も見られたとのことです。かゆみが減ることで掻く行為も減り、皮膚バリアの回復と炎症の沈静化という好循環が生まれることが期待できます。

4. 剃毛による刺激を減らす

アトピー肌の方にとって、日常的な剃毛はしばしば大きな皮膚刺激となります。カミソリによる剃毛は微小な切り傷を作りやすく、そこから細菌感染(特に黄色ブドウ球菌)を招くリスクがあります。また、剃毛後の毛の生え始めによる物理的な刺激もかゆみの原因になります。

レーザー脱毛によって毛が生えにくくなれば、剃毛の頻度が減り、こうした物理的な刺激や感染リスクを低減できます。これはシンプルですが重要なメリットです。

興味深いことに、毛のない部位にレーザー照射を行っても症状改善が見られたとの報告もあります。これは、単に剃毛刺激を減らす以上の効果が、レーザー照射自体にあることを示唆しています。

どのタイプのレーザーが効果的?

医療脱毛で使用されるレーザーには複数の種類があり、アトピー性皮膚炎への効果もそれぞれ異なる可能性があります。主に以下の3種類のレーザーについて研究報告があります:

アレキサンドライトレーザー

当院ではジェントルマックスプロプラスになります。

アトピー性皮膚炎への効果が最も多く報告されているのがこのタイプです。波長755nmの光は、メラニン色素に選択的に吸収され、毛包(毛の生える袋)に熱を与えます。この過程で、周囲の炎症細胞や神経線維にも影響を与えると考えられています。

比較的色白の肌に適しており、表皮神経の減少や菌叢改善など多面的な作用が期待できます。山田らの研究で使用されたGentleLASEもこのタイプのレーザーです。

ダイオードレーザー

当院ではメディオスターになります。

アレキサンドライトより少し長い波長を持ち、同様にメラニンをターゲットとします。肌質を選ばず使用できる特徴があり、一部の機種では「蓄熱式(SHR)」と呼ばれる、肌に優しく熱を与える方法です。

Moritaらの研究で使用された830nm半導体レーザーも、このダイオードタイプに分類されます。この研究では患者の79%でかゆみが軽減したという高い有効性が示されており、ダイオードレーザーもアトピー性皮膚炎の症状改善に効果的です。

YAGレーザー

当院ではジェントルマックスプロプラスになります。

最も波長が長く、肌の深い層まで届くのが特徴です。メラニンへの吸収は他の2種より少ないため、色黒の肌にも使用可能ですが、熱の影響が深部に及びます。

アトピー肌への使用では、症状が落ち着いた時期に限定するなど、特に慎重な適用が必要とされています。2024年のPezhdamらの研究では、Nd:YAGレーザーを複数回照射した場合に皮膚病変が悪化するリスクが指摘されており、活動期の病変への使用は避けるべきとされています。

実際の治療効果:臨床研究からわかること

医療脱毛のアトピー性皮膚炎への効果を示す主な臨床研究をいくつか紹介します:

Moritaらの研究(1993年)

  • 対象:アトピー性皮膚炎患者81名
  • 結果:79%でかゆみ減少、71%で皮疹改善
  • 特筆すべき点:副作用は認められず、皮膚の炎症マーカーも減少

Fazelらの研究(2020年)

  • 対象:30人ずつの治療群・対照群(アトピー患者ではない)
  • 結果:治療群で黄色ブドウ球菌減少、良い菌の増加、63%で肌状態改善
  • 意義:皮膚細菌叢のバランス改善がアトピーにも応用できる可能性

山田らの研究(2018年)

  • 対象:アトピー性皮膚炎患者
  • 結果:表皮内神経線維減少、かゆみ軽減、症状改善
  • 特筆すべき点:効果が長期間持続する傾向あり

注意点

レーザー脱毛がアトピー性皮膚炎に効果的という報告がある一方で、注意すべき点もあります。Pezhdamらの研究(2024年)では、皮膚疾患が活動期(悪化している時期)にレーザー照射を行うと、逆に症状が悪化するリスクが高まることが指摘されています。特にNd:YAGレーザーを複数回照射した場合に「ケブナー現象」(外傷に沿って新たな皮疹が出現する現象)のリスクが高まるとのことです。

そのため、レーザー脱毛を検討する際は、以下の点に注意が必要です:

  • 必ず医師の診察を受け、症状が落ち着いている時期に施術を受ける
  • 医療機関での医療脱毛を選択する(エステでの脱毛は医学的管理下にない)
  • 肌の状態に合わせて、適切なレーザーの種類やエネルギー設定を選ぶ
  • 施術後はしっかりと保湿を行い、皮膚バリアの回復を助ける
  • 従来の基本治療(スキンケア、外用薬など)を継続する

また、医療脱毛はある程度の痛みを伴う施術でもあります。アトピー肌は敏感なため、施術時の痛みや刺激に十分な配慮が必要です。医師と相談の上、適切な冷却や麻酔の使用を検討するとよいでしょう。

現状のエビデンスレベルと今後の展望

医療脱毛がアトピー性皮膚炎の症状改善に役立つという報告は有望です。

複数の独立した研究でかゆみや皮疹の改善が報告されていること、そして炎症抑制や菌叢改善といった多面的なメカニズムが示されていることから、単なる偶然ではなく実際の効果である可能性が高いと考えられます。

特に従来の治療で十分な効果が得られない患者さんにとって、新たな選択肢となる可能性があります。

医療脱毛が標準治療として確立されるまでにはさらなる研究が必要ですが、将来的にアトピー性皮膚炎治療の一環として組み込まれる日が来るかもしれません。

現在、日本では一部の皮膚科クリニックでアトピー性皮膚炎に対するレーザー治療を提供しているところもありますが、保険適用外の自費診療となることが一般的です。

まとめ

医療脱毛(レーザー脱毛)は、美容目的だけでなく、アトピー性皮膚炎の症状改善にも役立つ可能性があります。その効果は、炎症抑制、皮膚常在菌バランスの正常化、かゆみ神経の鎮静化、そして物理的刺激の軽減といった複数のメカニズムによるものと考えられています。

特にアレキサンドライトレーザーとダイオードレーザーについては、複数の研究で有効性が報告されており、適切に使用すれば安全性も高いとされています。

ただし、これはあくまで補助的な治療選択肢であり、従来の基本治療(スキンケア、薬物療法など)の代わりになるものではありません。また、症状が活動期の場合はレーザー照射によって逆に悪化する可能性もあります。

レーザー脱毛を検討する際は、必ず皮膚科専門医に相談し、自分の肌状態に合った適切な判断を仰ぐことが大切です。症状が落ち着いている時期に、医学的管理のもとで施術を受けることが、安全かつ効果的な治療につながります。

アトピー性皮膚炎の治療選択肢が広がることは、患者さんにとって心強いニュースです。今後の研究の進展により、さらに安全で効果的な治療法として確立されることを期待しましょう。

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