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酒さ(しゅさ)に悩む方々にとって、顔の「赤み」「ほてり」「灼熱感(ヒリヒリ感)」は日常生活の大きな負担になっています。
化粧でカバーしようとしても完全には隠せず、突然のほてりは予測できないため、社会生活や精神的な面でもストレスとなることが少なくありません。
今回は、そんな酒さの症状改善に効果があるとされる「Vビームレーザー治療」について、最新の医学研究をもとに詳しくご紹介します。
どのような仕組みで酒さの症状を和らげるのか、気になる安全性や副作用についても解説します。
まず、酒さについて簡単におさらいしておきましょう。酒さは、顔の中心部(頬、鼻、額、あご)に慢性的な赤みや血管拡張が生じる皮膚疾患です。主な症状には以下のようなものがあります:
これらの症状は組み合わさって現れることが多く、特に「赤み」「ほてり」「灼熱感」は多くの患者さんが訴える悩みです。
Vビームレーザーは血液中の赤い色素(ヘモグロビン)に特によく反応するという特性があります。
レーザーが血管内のヘモグロビンに吸収されると熱に変わり、異常に拡張した毛細血管を選択的に加熱・破壊します。
これにより、肌の表面はほとんど傷つけずに、拡張した血管だけを標的にして処理することができるのです。
では、このVビームレーザーは酒さの症状に対して実際に効果があるのでしょうか?複数の臨床研究を見てみましょう。
ノイハウスらが2009年に行った比較試験では、中等度の赤み症状を持つ酒さ患者29名を対象に、顔の片側にVビームレーザー、反対側に別のIPL(光治療)を月1回のペースで3回照射しました。結果、レーザーを照射した側では紅斑(赤み)や血管拡張が有意に改善し、患者さん自身が報告する「ほてりの頻度」や「灼熱感」なども軽減しました。
タンらの2004年の研究では、16名の酒さ患者にVビームレーザー治療を2回行ったところ、患者の申告による「ほてり」「灼熱感」「皮膚刺激感」は非常に改善し、さらに生活の質(QOL)も向上したと報告されています。
また、フォーゲルマンらは2015年に、原因不明の「顔のほてりと灼熱感」を訴える10名の患者さんに、平均7回のVビーム(585nm型)治療を行った結果、全員(100%)に自覚的な灼熱感の軽減とほてり発作頻度の減少が見られ、客観的評価でも平均62.5%以上の赤み軽減が確認されました。
最新の研究では、ヌーエンらが2024年に酒さ患者45名を対象に、Vビームと別のレーザー(KTPレーザー)の効果を比較しています。6~8週間隔で最大3回照射したところ、両方のレーザーとも赤みが有意に減少し、専門医による評価と患者自身の評価の両方で「全体的な外観」「赤み」「血管拡張」が改善しました。特に患者報告では持続的な赤みだけでなく、ほてりの頻度・程度も明らかに改善しています。
一方で、いくつかの研究では、Vビームレーザーの効果が限定的となるケースも報告されています。
クラークらの2002年の報告によると、刺激によって生じる強いほてり(一過性の強い赤み)や鼻の目立つ血管拡張については、十分な効果を上げることが難しい場合があるとされています。つまり、ほてり発作が激しい症例や太い血管にはVビーム単独では不十分な可能性があるのです。
また、持続的な赤みや血管拡張がほとんどなく、ほてりのみを訴えるような患者さんでは、レーザーが標的とする血管構造が乏しいため効果が限定的となる場合もあります。
Vビームレーザーが酒さの症状を改善する仕組みには、いくつかの要因が考えられています。
最も明らかなメカニズムは、拡張した血管を選択的に破壊することです。レーザーのエネルギーによって異常な血管が閉塞・消失することで、顔の赤みが軽減されます。
より興味深いのは、レーザー治療が皮膚の神経にも影響を与えるという発見です。ロネ・ラームらが2004年に行った研究では、酒さ患者32名にVビームレーザー治療を行い、治療前後で皮膚の一部を採取して顕微鏡で調べました。
その結果、レーザー治療3ヶ月後には皮膚表面近くの神経線維の密度が減少し、痛みや炎症を伝える物質(サブスタンスP)を含む神経線維も減少していました。これと並行して、32名中31名の患者さんで刺激に対する痛み反応が客観的に減弱していたのです。
この研究から、Vビームレーザーは拡張血管を減らすだけでなく、周囲の知覚神経線維を一時的に不活性化し、痛みやヒリヒリ感などの不快症状を和らげる効果があると考えられています。さらに、皮膚の炎症を促進する神経伝達物質の放出を抑えることで、赤みやほてりの悪循環を断ち切るのかもしれません。
Vビームレーザー治療は、通常以下のような流れで行われます:
治療回数は症状の程度によって異なりますが、多くの研究では2〜3回の照射で効果が見られています。より持続的な効果を得るために、4〜6回、あるいはそれ以上の治療を行うケースもあります。一般的には4〜8週間の間隔をあけて治療を繰り返します。
なお、Vビームレーザーの効果は永続的ではありません。酒さの原因そのものを取り除くわけではないため、時間の経過とともに症状が再発することもあります。多くの場合、6ヶ月〜1年程度の改善期間が得られ、その後必要に応じてメンテナンス治療を行います。
Vビームレーザー治療は比較的安全な施術ですが、いくつかの副作用がありますので知っておきましょう。
研究では、Vビームレーザーの痛みスコアは10段階中約4.1と報告されており、他のレーザー(KTPレーザーは2.5)と比べるとやや痛みが強い傾向にありますが、ほとんどの患者さんが許容できる範囲とされています。
重篤な副作用は報告されておらず、全般的に安全性の高い治療と考えられています。実際、複数の研究で患者満足度は高いことが報告されています。
Vビームレーザー治療には、「紫斑が出る設定」と「紫斑が出ない設定」の2種類のアプローチがありますが、当院ではダウンタイムや術後の色素沈着の可能性をさけるために、紫斑がでない設定にしています。
タンらの研究では紫斑を生じさせる高出力で2回の照射を行い良好な改善を得ている一方、ノイハウスらは紫斑が出ない低出力設定で3回照射しても効果を確認しています。
患者さんのライフスタイルや希望に応じて、どちらのアプローチも選択肢となるでしょう。
これまでの研究結果をまとめると、Vビームレーザー治療は酒さに伴う以下の症状改善に効果があると言えます:
ただし、効果には個人差があり、特に激しいほてり発作や太い血管拡張のある方では完全な症状抑制が難しい場合もあります。また、一時的な効果であることを理解し、現実的な期待を持つことが大切です。
理想的には、レーザー治療に加えて、日常生活での誘因回避(アルコール、辛い食べ物、極端な温度変化などを控える)や適切なスキンケア、必要に応じて内服薬や外用薬を組み合わせることで、より良い効果が期待できます。
酒さでお悩みの方は、まずは皮膚科専門医に相談し、自分の症状タイプや重症度に合った治療法を選ぶことをおすすめします。Vビームレーザーはその選択肢の一つとして、特に「赤み」「ほてり」「灼熱感」に悩む方にとって、検討する価値のある治療法かもしれません。
※セキュリティのため、最終受付時間後のドアの開閉は
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