「体重 −28.3%」の衝撃 ―― 次世代やせ薬・トリプルアゴニスト レタトルチドを、最新4剤と徹底比較 ~札幌市南区の美容皮膚科|アルバアレルギークリニック札幌

News お知らせ

お知らせ
バイオハック

「体重 −28.3%」の衝撃 ―― 次世代やせ薬・トリプルアゴニスト レタトルチドを、最新4剤と徹底比較

「体重 −28.3%」の衝撃 ―― 次世代やせ薬・トリプルアゴニスト レタトルチドを、最新4剤と徹底比較

この記事のエビデンス表記ルール

数値の「重み」がぜんぶ同じだと誤解しやすいので、出どころを記号で分けています。

  • ✅ 査読論文:ピアレビューを通った一次論文。いちばん硬い。
  • 🟡 学会発表(論文は未掲載):ADAなどで正式発表済みだが、まだ査読論文になっていない段階。
  • 🟠 プレスリリース速報:企業の発表のみ。詳細・査読はこれから。

同じ「−28.3%」でも、🟠と🟡と✅では信頼度が違う、というのが今回の肝です。

まず結論(2026年6月・ADAでの最新到達点)

ざっくり一文でいうと―― 「食欲を落とす(GLP-1・GIP)」に「燃焼を増やす(グルカゴン)」を1本に盛り込んだ注射(トリプルアゴニスト)がでた。それがレタトルチドで、減量効果が非常に高かった。

  • レタトルチド(GIP/GLP-1/グルカゴンのトリプルアゴニスト)が、第3相 TRIUMPH-1 で 80週・12mgで平均 −28.3% の減量を出しました。🟡(ADA 2026発表・論文は未掲載)
  • 参加者の 45.3% が「体重の30%以上」を落としています(12mg)。🟡
  • これは、いま実臨床のベンチマークであるチルゼパチド(マンジャロ/ゼップバウンド、デュアル)のこれまでの数字を上回る水準。ただし別々の試験どうしの間接比較であり、そのまま「勝った負けた」とは言えません(理由は後述)。
  • チルゼパチド(マンジャロ/ゼップバウンド、デュアル)は頭打ちがくる一方で「レタトルチドは頭打ちにならない」という意見もあります。が、これは言い過ぎ。48週までの範囲で頭打ちが見えていない、というのが正確なところ。80週以降の長期挙動はまだわかりません。

そもそも「次世代」って何が違うの?

やせ薬は「体の中のどのスイッチを押すか」で効きます。
GLP-1系(オゼンピック/ウゴービ:セマグルチド、マンジャロ:チルゼパチド)では、押すスイッチの数が1個→2個→3個と増えていっています。
ただし勘違い注意 ⚠️ 「数が多い=よくやせる」ではありません。 効きを決めるのは”数”より”どのスイッチを・どんな配分で押すか”が大切で、レタトルチドが強いのも「3個だから」と単純には言えず、そこはまだ解明途中です。

鍵のたとえでいうと:

  • セマグルチド … 1刻みの鍵(GLP-1だけ)
  • チルゼパチド (マンジャロ/ゼップバウンド)… 2刻みの鍵(GIP+GLP-1)
  • レタトルチド … 3刻みの鍵(GIP+GLP-1+グルカゴン)

減量に必要な3つのホルモンの役割(土台の生理)

GLP-1(全製剤の主要成分)
・働き:食欲を中枢で抑える/インスリン促進/グルカゴン抑制/胃排出を遅らせる(=吐き気の主因)
・減量の理屈:土台。「入る量」を減らす

GIP
・働き:インスリン促進/グルカゴンは促進側/胃排出にはほぼ関与せず
・減量の理屈:寄与機序は未確定(”GIPパラドックス”=作動薬も拮抗薬も減量候補になり得る)

グルカゴン
・働き:肝で糖を作る(血糖↑)が、エネルギー消費↑・脂肪分解↑・肝脂肪↓
・減量の理屈:食欲抑制系(GLP-1)に「燃焼アップ」を上乗せ

グルカゴンは単体だと血糖を上げる方向のホルモンなので、「やせ薬に入れる」というのは一見ヘンに見えます。でも、大幅な体重減少・食事量減少・受容体の作動比率などが絡んだ結果、トータルでは血糖もむしろ改善する、というのが今のデータの姿です。

⚠️ 注意:「GLP-1・GIPの血糖降下がグルカゴンの血糖上昇を『綱引き』で上回る」という説明はわかりやすい簡略化であって、論文にそのままの表現で書いてあるわけではありません。実際は多因子(体重減少・作動比率・グルカゴンの非高血糖的な生理作用)が絡み合った結果です。

参考までに、カグリセマの片翼アミリンは上の3つとは別系統(β細胞由来、カルシトニン受容体+RAMP)。中枢性の満腹・胃排出遅延・グルカゴン抑制を担います。

4剤スペック早見表

4剤スペック早見表

レタトルチド(Eli Lilly)
・標的:GIP/GLP-1/グルカゴン(トリプル)
・投与:週1回 皮下(半減期 約6日)
・主戦場:肥満・T2D(+OSA・変形性膝関節症も)
・承認:未承認(第3相)

チルゼパチド(Eli Lilly)
・標的:GIP/GLP-1(デュアル)
・投与:週1回 皮下
・主戦場:肥満・T2D
・承認:承認済(日本T2D=マンジャロ/米肥満=Zepbound)

カグリセマ(Novo Nordisk)
・標的:アミリン(カグリリンチド)+GLP-1(セマグルチド)
・投与:週1回 皮下(固定用量配合 2.4/2.4mg)
・主戦場:肥満・T2D
・承認:未承認(FDA審査中、判断は2026後半見込み)

スルボデュチド(Boehringer Ingelheim|Zealandより導入)
・標的:グルカゴン/GLP-1(デュアル)
・投与:週1回 皮下
・主戦場:MASH(肝)+肥満
・承認:未承認(MASHでFDA画期的治療薬指定)

レタトルチドは3つのスイッチを押しますが、押す強さはバラバラ。GIPを強めに、GLP-1とグルカゴンは軽めに――と配分が設計されてます。「1本の鍵に、深さの違う3つの刻みを彫った合鍵」みたいなイメージ。

① レタトルチド ―― 今回の主役

第2相・肥満(✅ 査読論文)

Jastreboff AM, et al. N Engl J Med. 2023;389(6):514-526(NCT04881760)。

  • ・48週で平均 −24.2%(12mg)。24週の時点でも −17.5% 落ちていて、後半もまだ伸びた。
    ・グラフはまだ下がり続けてる途中だった。もっと続ければさらに落ちた可能性がある(※あくまで48週までの話)。
    ・12mgの人の約4人に1人(26%)が、体重を3割以上ダウン。
    ・前糖尿病だった人の72%が正常な血糖値に戻った(プラセボは22%)。
    ・悪玉コレステロール(LDL)も約2割下がった。
    ・もともと重い人(BMI35以上)ほど、また女性のほうが、よく体重が落ちた。
    ・参加者はアメリカのみ・男女ほぼ半々。論文いわく「女性が多い試験ならもっと数字が出てたかも」=この試験の数字はやや控えめの可能性。

第3相 TRIUMPH-1・肥満(🟡 ADA 2026発表・論文は未掲載)

2026年6月6日、ADA第86回学術集会(ニューオーリンズ)で発表。2,339人を4mg/9mg/12mg/プラセボに1:1:1:1で割付、80週。

TRIUMPH-1(第3相・肥満)/80週の平均減量

・4mg:−19.0%
・9mg:−25.9%
・12mg:−28.3%(約70lb=約32kg)
・プラセボ:−2.2%

  1. ・12mgの人の45.3%が、体重を3割以上ダウン。ほぼ2人に1人。
    ・12mgの人の65%超が「肥満」の線(BMI30)を下回った。さらに33.3%は「標準体重」域(BMI25未満)まで戻った。
    ・開始時にとくに重かった人(BMI35以上)が104週まで続けると、−30.3%(約85lb=約39kg)。
    ・副作用は主に胃腸系。12mg vs プラセボで、吐き気 42% vs 15%、下痢 32% vs 14%、便秘 26% vs 11%、嘔吐 25% vs 5%、しびれ感 13% vs 1%。多くは軽〜中くらいで、続けるうちにおさまった。
    ・FDA申請は2026年後半〜2027年初めの見込み(=まだ承認前)。

第3相 TRANSCEND-T2D-1・2型糖尿病(✅ 査読論文・Lancet)

Bajaj HS, et al. Lancet. 2026 Jun 13;407(10546):2402-2413. doi:10.1016/S0140-6736(26)00967-0(NCT06354660)。ADAと同時掲載。

  • ・対象はまだ薬を使っていない、早期の2型糖尿病の人537人(食事と運動だけで管理していた段階)。
    ・血糖の指標(HbA1c)が大きく改善。12mgで −1.94%、9mg −1.86%、4mg −1.69%(プラセボは −0.81%)。
    ・体重も有意に減少(速報では約−17%。正確な内訳は論文参照)。
    ・つまり「薬を足さなくても、これ1本で早期の糖尿病を管理できるかも」という結果。
    ・ただし注意:参加者は
    ほぼ薬未使用の人ばかり**。すでに他の薬やインスリンを使ってる一般的な患者にそのまま当てはめるのは早い、と論文自身が釘を刺している。

② チルゼパチド(マンジャロ/ゼップバウンド)

いま実際に使えている”2刻みの鍵”。比較の基準として置いておきます。

SURMOUNT-1(✅ 査読論文)

Jastreboff AM, et al. N Engl J Med. 2022;387:205-216(NCT04184622)。72週・肥満(非糖尿病)。

・最高用量15mgで、体重は平均 −22.5%(”きっちり続けた場合”の数字)。現実の脱落なども込みだと −20.9%。
・体重を落とせた人の割合(現実込みの数字):
5%以上落とせた人 → 91%
10%以上 → 87%
15%以上 → 78%
20%以上 → 63%
・「30%以上落とせた人の割合」は、私が確認できた範囲では不明(=レタトルチドの45.3%と直接は並べられない)。
・72週あたりで、落ち方がゆるやかになり頭打ちに近づいた。

3年延長(176週)

15mgで −19.7%(72週の−22.5%からやや反転)。→ 「長く続ければずっと落ち続ける」わけではないという重要な実例。レタトルチドの80週以降が同じ道をたどるかどうかは、まだ誰にもわからない。

③ カグリセマ ―― アミリン×GLP-1という別アプローチ

カグリセマだけ、押すスイッチの種類が違います。
他の3剤が使う「GLP-1・GIP・グルカゴン」ではなく、**GLP-1(セマグルチド=ウゴービの中身)+アミリン(カグリリンチド)**の組み合わせ。アミリンは「もう満腹」を脳に伝えるホルモンで、食欲抑制を別ルートで二段構えにした薬です。グルカゴンで”燃焼を増やす”トリプル系とは、そもそも狙いが違います。

REDEFINE 1(✅ 査読論文)

Garvey WT, et al. N Engl J Med. 2025;393(7)(NCT05567796)。肥満・非糖尿病。

  • 試験製品estimand(全員が続けたと仮定した理想シナリオ)で 約23%減
  • ≥5%減:91.9%(プラセボ31.5%)

REDEFINE 2(✅ 査読論文)

Davies M, et al. N Engl J Med. 2025;393(7):648-659。肥満+T2D。

承認と、気になる直接比較

  • FDAへ 2025年12月18日にNDA提出(REDEFINE 1・2ベース)。判断は2026年後半見込み=現時点で未承認。
  • 2026年2月、チルゼパチドとの直接比較(head-to-head)試験で、カグリセマはZepbound(チルゼパチド)の減量幅に及ばなかったと報じられ、Novo株が下落。トリプルやチルゼパチドと”減量幅だけ”で比べると、カグリセマはやや控えめ、という位置づけが見えてきています。
  • 日本・台湾を含む東アジア試験(REDEFINE 5)も走っており、Ishigaki Y, et al. Lancet Diabetes Endocrinol. 2026;14(6):450-462 として報告。

④ スルボデュチド ―― 肝臓(MASH)が主戦場のデュアル

グルカゴン/GLP-1デュアル。減量薬というより、**MASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)**での存在感が大きいのが特徴。グルカゴンの「肝脂肪を減らす」作用が効いてくる領域です。

第2相・MASH/線維化(✅ 査読論文)

Sanyal AJ, et al. N Engl J Med. 2024;391(4):311-319. doi:10.1056/NEJMoa2401755。

  • MASHでFDAの画期的治療薬(Breakthrough Therapy)指定(2024年9月)。

肥満の第3相 SYNCHRONIZE-1

  • Phase 3・76週・肥満(非糖尿病、NCT06066515)は完了済み。ADA 2026で発表され、企業速報では 76週 −16.6%。🟠/🟡
  • ただし肥満の査読論文化の有無は、本記事執筆時点で私は確認できていません。硬い一次論文はいまのところMASHの第2相(Sanyal 2024)。

承認状況まとめ(2026年7月時点)

薬剤承認状況チルゼパチド承認済(日本:2型糖尿病=マンジャロ/米:肥満=Zepbound)レタトルチド未承認。第3相進行中、FDA申請は2026後半〜2027初頭見込みカグリセマ未承認。FDA審査中(2025/12申請)、判断は2026後半見込みスルボデュチド未承認。MASHでFDA画期的治療薬指定

経営者の生活パターンで様々な使い方ができるのが、減量薬のよいところです。

主要出典

  • Jastreboff AM, Kaplan LM, Frías JP, et al. Triple–Hormone-Receptor Agonist Retatrutide for Obesity — A Phase 2 Trial. N Engl J Med. 2023;389(6):514-526.
  • Bajaj HS, Welch M, Shah P, et al. Efficacy and safety of retatrutide (TRANSCEND-T2D-1): a double-blind, randomised, phase 3 trial. Lancet. 2026 Jun 13;407(10546):2402-2413. doi:10.1016/S0140-6736(26)00967-0.
  • Jastreboff AM. TRIUMPH-1 primary results. Symposium presentation, ADA 2026 Scientific Sessions(2026年6月6日発表・論文未掲載)/Eli Lilly プレスリリース(2026年6月6日)。
  • Jastreboff AM, et al. Tirzepatide Once Weekly for the Treatment of Obesity (SURMOUNT-1). N Engl J Med. 2022;387:205-216.
  • Garvey WT, et al. Coadministered Cagrilintide and Semaglutide (REDEFINE 1). N Engl J Med. 2025;393(7).
  • Davies M, et al. Cagrilintide–Semaglutide in Obesity and T2D (REDEFINE 2). N Engl J Med. 2025;393(7):648-659.
  • Sanyal AJ, Bedossa P, Fraessdorf M, et al. A Phase 2 Randomized Trial of Survodutide in MASH and Fibrosis. N Engl J Med. 2024;391(4):311-319.
  • Novo Nordisk プレスリリース(CagriSema NDA提出、2025年12月18日)ほか企業発表。
Back

診療案内・アクセス

診療時間
  • 平 日
  • 09:00〜12:00(最終受付 11:40)
  • 14:00〜17:30(最終受付 17:10)
  • 土 曜
  • 13:00〜17:30(最終受付 17:10)

※セキュリティのため、最終受付時間後のドアの開閉は
警報が作動することがあります。

休診日
祝日・月曜・日曜
所在地
北海道札幌市南区澄川6条3丁目2番37号
※共用駐車場 65台 Google Map

治すことを本気で目指しています。
お気軽にご相談ください。

LINE相談 WEB予約
AIに質問する
男性の方はこちら